先日、拡散方程式の解析解を変数分離法により計算したが、拡散方程式といえば、やはりフーリエ変換だと思うので、今回は「フーリエ変換法」で解くことにする。
考える問題(前回の再掲)
拡散方程式とは、次の形の線形偏微分方程式であった。
右辺の拡散項は、時間の経過と共に初期値が広がっていくことを表す。
この解のうち、初期条件および周期境界条件を満たす解を求めることにする。なお、は定数。
フーリエ変換法による解析解
フーリエ変換とは
変数分離法では、求める解を、周期の異なるサイン関数とコサイン関数の和(級数和)で表したが、その際の周期は離散的なものであった。では、周期を連続量にしたらどうであろうか。
実際そのように考えることは可能で、与えられた関数に対して、次のフーリエ積分公式が成り立つ。(ただし、右辺が必ず収束するとは限らない)
さて、このフーリエ積分公式の中の下記部分を「フーリエ変換」という。
および、残りの部分を「逆フーリエ変換」という。
つまり、フーリエ積分公式は、フーリエ変換、フーリエ逆変換を用いて次のように書かれる。
一般解の導出
さて、求める解および初期条件の(に関する)フーリエ変換を、
と書くことにする。
ここで、拡散方程式をに関してフーリエ変換すると、
となって常微分方程式に帰着するが、これは簡単に解けて、
を得るから、この解を逆フーリエ変換することで、一般解を、
として求めることができる。
初期条件を満たす解(特殊解)の計算
初期条件のフーリエ変換は、
となる。そのため、初期条件を満たす解は、
と計算できる。なお、この解は周期境界条件を満たす。
初期条件等によっては初等関数で書き下せないこともあるが、本例ではフーリエ変換を使うことで、非常に簡単に解を求めることができた。
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