先日、Burgers方程式の数値解をRにより計算したので、今回は解析解を求めてみようと思う。ここでは、Burgers方程式をCole-Hopf変換により拡散方程式に帰着させたのち、フーリエ変換法で解析解を求める。
考える問題
Burgers方程式とは、次の形の非線形偏微分方程式であった。
この左辺第2項の移流項は非線形であり、波の速さが波高によって異なることを表す。また、右辺の拡散項は、時間の経過と共に波形が広がっていくことを表す。方程式の解のうち、初期条件および周期境界条件を満たす解を求めることにする。なお、は定数(動粘性係数)。
Cole-Hopf変換
Burgers方程式は、
と書けるが、ここで、を、
と変換すると(この変換を"Cole-Hopf変換"という)、Burgers方程式は、
となるから、に関して1回積分して、
すなわち、
となるので、これを整理すると、
となって拡散方程式を得る。
Cole-Hopf変換後の解析解の導出
拡散方程式についてはすでにフーリエ変換法で解析解を求めたが、ここでもフーリエ変換法を使うことにする。、と書くと、は、
であることと、関数のたたみこみのフーリエ変換が、
であることを用いれば、これらの逆フーリエ変換により、
と求めることができる。
さて、であったから、より、
であるので、の場合には、
となるから、
と求められる。
Burgers方程式の解析解の導出
いよいよBurgers方程式の解析解を求める。
まず、と書くと、
であるから、
と求められる。
なお、この解が周期境界条件を満たすことは簡単に分かる。また、とすると、となっていることも分かる。そのため、これが求める解である。
計算結果の確認
として、、、、の時の値をプロットしたものは以下の通り。急峻な衝撃波を生じつつ、時間の経過とともに波高が減衰していくことが視覚的にも確認できる。
なお、上記の積分の計算はで行っている。(刻み幅)
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間違い等ありましたらお手数ですがコメント等いただけますと幸甚です。