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移流拡散方程式の解析解の計算 フーリエ変換法/変数分離法

先日、移流拡散方程式の数値解をRにより計算したので、今回は解析解を求めてみようと思う。いくつか解き方があるが、「フーリエ変換法」で解く方法と、「変数変換法」により拡散方程式に帰着させて解く方法で求めてみることにする。

考える問題

移流拡散方程式とは、次の形の線形偏微分方程式であった。

 \dfrac{\partial u}{\partial t} + c\dfrac{\partial u}{\partial x} =\nu \dfrac{\partial^{2} u}{\partial x^{2}}

この左辺第2項の移流項は、波高によらず同じ速さで波が進むことを表す。また、右辺の拡散項は、時間の経過と共に波形が広がっていくことを表す。方程式の解のうち、初期条件 (1.0+\cos \pi x)および周期境界条件 u(0,t)=u(2,t) を満たす解を求めることにする。なお、c\nu (\gt 0) は定数。

フーリエ変換法による解析解

一般解の導出

求める解u(x,t)および初期条件h(x):=u(x,0)の(xに関する)フーリエ変換を、

 U_{\omega}(t) = \mathscr{F} \left [ u(x,t) \right ]

 H(\omega) = \mathscr{F} \left [ h(x) \right ]

と書くことにする。

ここで、移流拡散方程式をxに関してフーリエ変換すると、

 \begin{equation} \begin{cases} \dfrac{d U_{\omega}}{dt} +  i c \omega U_{\omega}= - \nu \omega^2 U_{\omega} \\ U_{\omega}(0) = H(\omega) \end{cases} \end{equation}

となって常微分方程式に帰着する。そして、これは簡単に解けて、

 U_{\omega}(t) = H(\omega) e^{- ( i c \omega + \nu \omega^2) t}

を得るから、この解を逆フーリエ変換することで、一般解を、

 u(x,t)= \dfrac{1}{2 \pi} \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} U_{\omega}(t) e^{i \omega x} d \omega

として求めることができる。

初期条件を満たす解(特殊解)の計算

初期条件のフーリエ変換H(\omega)は、

 H(\omega) \\ =\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} (1+\cos \pi y) e^{-i \omega y} dy \\= 2 \pi \delta (\omega) + \pi (\delta (\omega - \pi) +\delta (\omega + \pi))

であるから(ここで\deltaデルタ関数)、U_{\omega}(t)は、

 U_{\omega}(t) = \left( 2 \pi \delta (\omega) + \pi (\delta (\omega - \pi) +\delta (\omega + \pi)) \right)e^{-( i c \omega+\nu \omega^2 )t}

となる。そのため、初期条件を満たす解は、

 u(x,t) \\ =\dfrac{1}{2 \pi} \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} U_{\omega}(t) e^{i \omega x} d \omega \\= \dfrac{1}{2 \pi} (2 \pi + \pi e^{- (i c \pi+\nu \pi^2) t}e^{i \pi x} + \pi e^{- (- i c \pi + \nu \pi^2) t}e^{-i \pi x}) \\ =\dfrac{1}{2 \pi} (2 \pi + \pi e^{- \nu \pi^2 t} e^{i \pi (x-ct)} + \pi e^{- \nu \pi^2 t} e^{-i \pi (x-ct)}) \\ =\dfrac{1}{2 \pi} (2 \pi + \pi e^{- \nu \pi^2 t} \cdot 2 \cos \pi (x - ct))  \\=1+ e^{- \nu \pi^2 t} \cos \pi (x-ct)

と計算できる。また、この解は周期境界条件 u(0,t)=u(2,t) を満たす。

なお、求めた解は、同初期条件・境界条件で解いた移流方程式の解 1+\cos \pi (x-ct) と、同初期条件・境界条件で解いた拡散方程式の解 1+e^{- \nu \pi^2 t} \cos \pi x を組み合わせた形となっていることが分かる。

変数変換法による解析解

移流方程式は x-ctなる変数変換法を行うことにより上手く解くことができたため、ここでも、

 \begin{equation} \begin{cases} s= x-ct \\ t = t \end{cases} \end{equation}

と置いてみることにする。すると、

 \dfrac{\partial u}{\partial t}=\dfrac{\partial u}{\partial s}\dfrac{\partial s}{\partial t}+\dfrac{\partial u}{\partial t}=-c\dfrac{\partial u}{\partial s}+\dfrac{\partial u}{\partial t}

 \dfrac{\partial u}{\partial x}=\dfrac{\partial u}{\partial s}\dfrac{\partial s}{\partial x}=\dfrac{\partial u}{\partial s}

 \dfrac{\partial^2 u}{\partial x^2}=\dfrac{\partial }{\partial x} \left(\dfrac{\partial u}{\partial x} \right)=\dfrac{\partial }{\partial x}  \left(\dfrac{\partial u}{\partial s} \right)=\dfrac{\partial }{\partial s}  \left(\dfrac{\partial u}{\partial s} \right)\dfrac{\partial s}{\partial x}=\dfrac{\partial^2 u}{\partial s^2}

となるから、移流拡散方程式は、

 \dfrac{\partial u}{\partial t}= \nu \dfrac{\partial^2 u}{\partial s^2}

となって拡散方程式に帰着する。つまり、速さ ctで右に動く座標系から見ると、拡散方程式となる。

さて、初期条件は、t=0のとき、s=xだから、 u(s,0)=1+\cos \pi sであるが、この解は既に変数分離法フーリエ変換法で求めたとおり、u(s,t)=1+e^{- \nu \pi^2 t} \cos \pi s であったから、移流拡散方程式の解は、sx-ctを代入して、

u(x,t)=1+ e^{- \nu \pi^2 t} \cos \pi (x-ct)

と求めることができる。(もちろん上で求めたフーリエ変換法による解と同じ)

計算結果の確認

検算

 u(x,t)=1 + e^{- \nu \pi^2  t} \cos \pi (x-ct)より、 u tおよび x偏微分すると、

 \dfrac{\partial u}{\partial t}=- \nu \pi^2 e^{- \nu \pi^2  t} \cos \pi (x-ct) + c \pi  e^{- \nu \pi^2 t} \sin \pi (x-ct)

 \dfrac{\partial u}{\partial x}=- \pi e^{- \nu \pi^2 t} \sin \pi (x-ct)

 \dfrac{\partial^2 u}{\partial x^2}= - \pi^2 e^{- \nu \pi^2 t}  \cos \pi (x-ct)

であるから、求めた解は、

 \dfrac{\partial u}{\partial t} +c\dfrac{\partial u}{\partial x}= \nu \dfrac{\partial^2 u}{\partial x^2}

を満たす。

グラフ

 \nu=0.02 c=1.00として、 t=00.81.6の時の値をプロットしたものは以下の通り。波は右に進むが、時間の経過とともに波高が減衰していく解になっていることが視覚的にも確認できる。

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間違い等ありましたらお手数ですがコメント等いただけますと幸甚です。